つくりびと紹介

つくり人　坂田和生

先代は生地や反物を問屋に卸す織元。三十年程前、和生さんの父が自社企画ブランド『かすりの里Ⓡ』を立ち上げました。
その工程の中で出る廃糸を何とかできないか、和生さんは残糸を織り込んだり繋いだりしながら商品開発をきっかけに『かすりの里Ⓡ』とはまた違った年齢層に向けての『TUGU』ブランドを立ち上げました。
受け継がれた久留米絣の伝統工芸の趣きを活かし、他所にない産物としての価値を見出し表現するその一方で、今の時代に合った新しい発想を形にする和生さん。まさに、伝統と革新の共存を考えています。
文化的価値を守りながらも、もっと身近な品として「久留米絣を今の時代に届けたい。」
それが坂田織物のスタイルです。

使う度に魅せる表情や風合い

商品は一つ一つ人の手を介して仕上がった、こだわりの希少的なものばかり。
坂田織物では、絣が出来上がるまでの約三十工程のうち、括り・染め分け、染め、織りの三工程を最重要視し、柄も年間二十～三十程考案されています。
軽くて通気性が良いのが久留米絣の生地の特徴。また、残糸織りは凸凹感があり、使うにつれて表情を変え風合いが出てくる織りで、和生さんが生み出す魅力の商品の一つです。
今後も、幅広機械による織りや、デニム生地との融合も視野に入れ、久留米絣の廃糸も活用しながら、久留米絣のイメージを覆すようなものづくりを展開していきます。

「筑後の環境が好きだから、ここだけ
にしかない久留米絣を大切にしたい」

山があって川があってちょっと行けば海があって、そんな筑後の環境が好き。だから、ここだけにしかない久留米絣を大切にしたい…それが和生さんの想いです。
伝統工芸の世界『かすりの里Ⓡ』。それがあってこそ、今度は斬新な発想と時代に合った新しい感覚の『TUGU』の世界が広がります。その両方の世界観の共存をテーマとする坂田織物は、その技術と価値を筑後から全国、そして海外へと発信し続けます。
「染め分けの技術が海外のどこまで通用するのか試してみたい…」筑後が生んだ伝統の技術が、今世界へ放たれていきます。